東京グラムシ会設立の「よびかけ」

(1998年4月26日、東京グラムシ会設立総会、於.東京・九段、イタリア文化会館)

私たちは、20世紀の思想家アントニオ・グラムシに関心をもつ人びとの「自由な文化交流の場」となることをめざし、東京グラムシ会を設立することになりました。

アントニオ・グラムシがファシズム圧政下の牢獄から数々のメッセージを書き残して1937年4月27日この世を去ってから、すでに60年余の歳月が流れました。また、『獄中からの手紙』や『獄中ノート』が第2次世界戦争終結後まもなく公表されてから数えて半世紀が過ぎました。それにもかかわらずグラムシの生涯とその著作に鋳込まれた批判と創造の精神は、遙かな時空を越えて、20世紀の思想的鉱脈を形成し、私たちに今も語りかけてきます。

日本と世界の歴史と現実を見すえながら、新しい世紀にもまたがるグラムシ思想の知的有効性、同時代性に多面的な角度から光をあて、そこから多くのことを学びとるために、グラムシ思想に関心をもつ私たち一人一人が地道な研究努力を続けることがますます重要になっています。同時に、政治信条や世代や関心領域の違いを越えて、多元的かつ重厚的な共同の研究と意見交換、相互交流の場がどうしても必要であることを痛感します。

このため私たちは、東京グラムシ会を以下のような交流の場にしようと考えています。

  1. 定期的に会報を発行し、グラムシならびに現代の思想・文化動向に関連する内外の情報、研究の成果などを会員のみなさんにお届けします。
  2. 研究会や講座を組織し、研究発表や意見交換の場を設けます。
  3. 『獄中ノート』研究会を設置し、日本では未刊行の『獄中ノート』校訂版翻訳の全国的な準備に協力します。
  4. グラムシ関係のTV・映画などの鑑賞会をはじめ多彩な文化行事を計画組織します。
  5. 会の目的に添ったさまざまなアイディア、イニシアチブ、提案を歓迎し推進します。

以上の活動のなかの一つでも二つでも関心のある方は、是非とも、東京グラムシ会に入会し活動に参加してくださるよう心からよびかけます。

とりわけ、若い世代のみなさん、東京グラムシ会に入会し、新しい知的文化的出会いの機会とされるよう強くよびかけます。

1998年4月26日

東京グラムシ会設立総会

東京グラムシ会 会則

  1. 東京グラムシ会は、20世紀の思想家アントニオ・グラムシに関心をもつ人びとの「自由な文化交流の場」となることを目的とします。
  2. 会の目的に賛同する人はだれでも入会することができます。
  3. 会費は年額3000円とし、2年間会費を滞納した人は退会したものとみなします。
  4. 総会は年1回開催され、会の活動と運営について討議し決定します。総会はまた、運営委員会を選出します。
  5. 東京グラムシ会の基本的な活動は以下のとおりです。
    1. 小冊子を随時発行し、グラムシならびに現代の思想・文化動向に関連する内外の情報、研究成果などの普及につとめる。
    2. 国際的なグラムシ研究機関および同研究者との交流をはかる。
    3. 研究会や講座を組織する。
    4. グラムシ関係のTV・映画などの鑑賞会をはじめ多彩な文化行事を組織する。
    5. 『獄中ノート』研究会を設置し校訂版翻訳の全国的な準備に協力する。
    6. その他会の目的に添ったさまざまなアイディア、イニシアチブ、提案を歓迎し推進する。
  6. 東京グラムシ会は次のように運営されます。
    1. 定期的に会報(TGS Bulletin)を発行する。すべての会員は無料で会報を受け取ることができる。
    2. 運営委員会は、会全体の活動の調整をはかる。運営委員会は会の基本的活動の遂行に責任をもち、他組織との連携をはかる。運営委員会は随時開催される。運営委員会はまた、代表を互選する。
    3. 事務局は暫定的に(株)文流に置く。事務局は運営委員会との連絡のもとに会員との連絡、会報の発送、会費の徴収など会の運営に必要な実務を遂行する。
    4. 監査委員会を設置し、東京グラムシ会の会計を監査し、総会で会計監査報告をおこない承認をうる。

参考(発足当時の役員)

顧問(7名 敬称略)

石堂清倫(評論家)

前野良(政治学者)

中村丈夫(評論家)

竹内啓一(一橋大学名誉教授)

上村忠男(東京外語大学教授)

西村暢夫(株式会社文流社長)

シルヴィオ・マルケッティ(イタリア文化会館館長)

運営委員(23名)

いいだもも、伊藤晃、岩井正雄、大竹政一、小原耕一、小沢弘信、片桐薫、黒沢惟昭、柴山健太郎、杉岡碩夫、田之畑高広、中嶋康、西角純志、温井寛、長谷川豊隆、福田妙子、増田浩司、丸山茂樹、森川貞夫、森川辰文、山根雅子、山本和彦、吉留昭弘